「Forest(アルバム)」の解説・雑記
これは、スーパーファミコンで作った曲データ(10種類)をまとめてROMデータに収めて、Remuteさんの「The Cult of Remute」や、RIKIさんの「8BIT MUSIC POWER」風にしたものです。
Remuteさんも、RIKIさんもすごいですね。特にRIKIさんの作品には、有名なプロの方も多数参加されていて、更にはテレビ局やレコード会社、自治体も動くくらいになっていて…。
自分が頻繁にやっていた頃は、こういうゲーム機のHomebrewは陰湿な目でしか見られなかったのに、いつの間にこんな風に変わったのか…。
こういう「再掲載場」というページを(無理やり)作ったからには、「希望へ導くメッセージ」以外のデータも再公開したい…でも多くのデータはXMSNESの仕様もよくわかっていなかった頃に作ったもので(今もよくわからないところもありますが)音質がいまいち…なので、再調整してアップすることにしました。
だいぶ修正しましたので、当時公開していたデータと比較してみると、かなり違った感じに聴こえるのではないかと思います。
今回新たに作ったものもあります。
1つ1つを適当に解説していきたいと思います。
1,鍵の眠る森
オリジナル曲
記念すべき(?)初めて実機再生に成功した曲です。
動画(【SPC700】スーパーファミコン実機でオリジナル曲「鍵の眠る森」を演奏)をニコニコ動画にアップロードしたのが、2010年9月28日…もう10年経ったのか…という感じがしますね。
今はHomebrewの情報も多く流れている上に、カートリッジさえどうにかなれば実機で再生できる…という感じですが、当時はそんな情報はまったくなかったから、無事この曲が実機から鳴ったときは………でした。
今、データを見直してみると、色々再調整すべき点というのはたくさんあるのですが、あれこれやりすぎると当時公開した動画とのギャップが激しくなってしまうので、最小限に抑えました。
2,天国と地獄
作曲:Jacques Offenbach
おなじみの「天国と地獄」です。
8BIT系の音色を読み込ませたところで、SPC700内蔵のエフェクトを思いきりかけるとどうなるのだろうか…と思って試してみたものです。
なかなかいい感じになった上に、個人的にも面白いな…この方向でこれからも色々作ってみたいな…と思っているのですが、あまりスーファミらしく聴こえないのか、どうも………というところがあるようで。
でも、この動画をニコニコに公開したとき、「もっと評価されるべき」タグがついたのは嬉しかったですね。
つけてくれた方、ありがとうございました。
2021年3月13日更新:コマンドの入力ミスを修正しました。
3,素晴らしき牛の国(UNIX版牛丼道 タイトルBGM)
オリジナル曲/牛食えプロ Presents
What A Wonderful "COW" World!!(なんて素晴らしい牛の世界なんでしょう!!)………想像もしたくない…。
この辺りで、スーファミの音源だからこそできる曲も入れたいな…と思ったので、3曲目にはこの曲を持ってくることにしました。
この声はなんなのか…というと、実は自分の声を加工したものです。PC-9801-86についてきたマイクを使って、Windowsのサウンドレコーダーで録音して、速度を変えたり、あれこれやったりして…という感じです。(※2003年頃の話です。)
UNIX系OS用として作っていたゲームなのに、こんなところでちゃっかりWindowsを使ったり…。…当時のUNIX系OSはまだ発展途上…という感じで、使えない/使えたとしても動作が不安定な周辺機器もたくさんありましたので。
”並盛!”、”大盛!”、”特盛!”、”いただきまーす!”、”まだ?”……最近はあまり行かなくなりましたが、当時は、吉野家とか、松屋とか、すき家とかよく行っていました。
今はもう並盛 290円ではないんですよね。
4,長い道を(Дорогой длинною)
ロシア民謡(ジプシーソング)
ロシアの曲から1曲。「悲しき天使」や「花の季節」などの名称でも広く知られている曲です。(歌詞によってタイトルが異なり、オリジナルの歌詞の場合は「長い道を」となります。)
スーファミ用のデータとしては今回が新規…となりますが、もともと音楽の集まりでStylophoneを使って演奏するためにだいぶ前にMODで作ったデータを転用させたものです。
色々な国で色々な方によってカバーが行われていますが、日本ファルコムのイースでこの曲が使われていた(ゲームBGMではなく、ミスリリア(杉本理恵さん)のイースのCDの中に収録された…という形ですが)…というのは意外でした。しかも、「ファルコム音楽フリー宣言」の対象にもなっていて、ファルコム公式サイトにもしっかり記載されているという…。(ちなみにこの曲自体はPublic Domainです。)
でも、考えてみると、アドルの冒険のバックにこの曲…合いますね。
今回はこういう場所なので、ゲームタイトルのところには「Ys - KRELIA」と入れることにしました。ただ、作るのにあたって実際に参考にしたものは韓国で広く知られているものであり、このCDの音源ではないので(そもそもファルコムのことを知ったのはデータ完成後ですので。)、これ以外のファルコム関連の情報は入れてありません。
個人的に好きな音源は、日本ではほとんど知られていませんが(CDも日本では、東京・神保町のナウカ・ジャパンくらいでしか取り扱っていないのですが)本場ロシアのナジェージダ・カディシェヴァさんの音源です。なんといっても歌声が…。
気になった方はYouTubeで「Надежда Кадышева Дорогой длинною」とか入れて検索すると出てくるので、聴いてみて下さい。
ロシアの曲ももっとやってみたいですね。
5,生きている湖底の村落
オリジナル曲
昔、PC-9801で作っていたゲーム向けのBGMとして作った曲です。(途中でフロッピーディスクが壊れてデータが消失して完成させることはできませんでしたが。)
データのコメントにあるMiboro Lakeというのは、岐阜県の白川郷にある「御母衣湖」のことです。
白川郷…というと、「ひぐらしのなく頃に」を思い出す方もいるかも知れませんが、それとは無関係です。自分が御母衣湖に実際に行ったのは1995年…。そのゲームはその直後から作り始めましたので。
御母衣湖は、SAPAで配られていた北陸自動車道の地図を見ていて知ったのですが(自分は新潟に住んでいますので、その辺の有人のPAに行けば簡単に地図が手に入れられます。今は、Highway Walkerですね。)、これだけの湖だから奥只見湖(新潟と福島の県境にある湖)のように遊覧船とかも走っていて活気に満ち溢れているんだろうな…と思っていたのですが、実際に行ったらそんな雰囲気はまったくなくて、物悲しい雰囲気しかなくて…。
それで物語を組み立てて、この曲を作りました。
エコーの設定を工夫した上で、FIRフィルタをあれこれ設定してみたところ、以前のバージョンとは雲泥の差…と言ってもいいくらいのすごく広がりのある音を出すことができました。
FIRフィルタの1つ1つの値が何を指しているのか、まだいまいちよくわからないところもありますが、標準フィルタとか、ローパスフィルタとか、そういうものにはこだわらない方がよさそうですね。
6,北方の平原にて(NHKエレうた ver.0.1!オンエア曲)
オリジナル曲
2011年3月26日にVOCALOID MEIKOバージョンがNHKラジオ第1で放送された「北方の平原にて」のスーファミ移植版です。
もともと4ch MODで作っていたので、XMSNESを通すだけでこのように簡単にスーファミで鳴らすことができました。
最初、こんな形で作ったものが、だんだん大きくなっていって、「みんなのうた」や「あなたのメロディー」と同じ舞台へ……。それこそ、「何がおこるかわからないから旅なんだ」(水曜どうでしょうの名言)ですね。
この曲は、4ch MODで完成直後、KbMedia Player(Kobarinさん作)搭載のエコーを通した音源をDTMマガジンの投稿コーナーに出したのですが(そして2005年9月号に掲載・DVD収録されました。)、SPC700搭載のエフェクトを使って、それに近い感じを出してみました。
完全に同じ…にはなりませんでしたが、まあこれなら…という感じにはなったと思います。
この曲の舞台は、第2次世界大戦前のサハリン(旧樺太)の鈴谷平原…。
もちろん当時はまだ生まれていなかった上に、サハリン自体、実際に行ったことはなく、その辺りにあった旅行記などを見てそれで作ったのですが、今はGoogleストリートビューで簡単に平原の景色が見られるようになって…時代も変わりましたね。
サハリンも(新潟からだと、[日が限られる上に現地には1日くらいしか滞在できませんが]2泊3日で行くことができるので)一度行って実際に鈴谷平原の景色も見てみたいのですが、なかなか時間が…。
韓国はなんとか行ける機会ができて、好きな音楽の舞台を実際に見てくることができましたが…。
7,戻らない時間
オリジナル曲
2008年5月14日にニコニコ動画で公開した「DS内蔵音源でオリジナル曲を演奏してみた」の曲です。
もともとはスーファミで作っていて、DS音源版は実は移植版だったりします。DS版が先に完成したことによって、スーファミ版はお蔵入りさせてしまいましたが、エフェクトを細かく設定して今回めでたく(?)お蔵出し…となりました。
「DS内蔵音源で…」の動画についたコメントに「なんかあずさ2号っぽいw」…って、なるほどね…。
それにしても、「これは戻らないわ」はどういう意味なんだろう…。
動画を公開した当時には戻らなくてもいいけど、コロナの騒ぎが起きる前の時間には戻りたい……。
8,アルハンブラ宮殿の思い出
作曲:Francisco Tarrega
ギターの名曲「アルハンブラ宮殿の思い出」をスーファミ音源でアレンジしたものです。
尺の長い曲(FF6のような10分以上も続くようなものはさすがにXMSNESでは無理なので、ループなしで4〜5分くらいのもの)も1つくらい入れてみようということで、最初は以前MODで作ったロシア民謡の「風に乱れる梢のように(То не ветер ветку клонит)」を移植しよう…と考えていたのですが、色々と複雑なコマンドを多用していて、MODプレーヤーでも正しく再生できるものとできないものがあったこのデータがXMSNESを素直に通るはずがなく、かなりの修正が必要になる…ということがわかったので……かわりに新規にデータを作ってこの曲をやることにしました。
無事(つっこみどころも色々あるかと思いますが)できましたが、これが実際にスーファミのゲーム中にBGMとして鳴り出したらちょっと怖いかも…。
この曲、MIDIでやるのならそんなに難しくないですが、MODでやるのはぎりぎり…という感じですね。
とにかく分解能が低いから…。それとテンポの揺れの設定が…。
テンポの揺れについては、探せばもっと設定しやすいトラッカーがあるのかも知れませんが…。(自分は昔からModPlug Trackerを使っています。そういえば、これももう20年近く使っているんだな…と思ったり…。)
9,鍵の眠る森 桃音モモバージョン
オリジナル曲(ボイス:藤本萌々子)
XMSNESで作れる範囲で歌うデータを作ってみよう…。「ラララ」くらいなら、なんとかいけるはず…ということで当時作ったものです。
まさに、スーファミだからこそ作れるデータですね。
これについて公式サイトにて感想を書いてくれた藤本萌々子さん、そして「SFC式VOCALOID」という名前をつけてくれた方、ありがとうございました。
10,花
作曲:滝廉太郎
最後はおなじみの「花」です。
今まで公開した動画では「Hello World」みたいな感じで一番最初に入れていましたが、今回は一番最後に持ってくることにしました。
以前のバージョンはテンポの設定に若干無理があったので、修正を加えました。完璧…ではないですが、だいぶ自然になったかと思います。
また安心して、隅田川のほとりへ行けることを願って…。
過去に作ったデータを再調整したものがほとんどですが、いかがでしたでしょうか。
こんなところまで見ていただき、ありがとうございました。
2021.01.10 Y.Sato